AIが信頼できない理由とは?──ハルシネーションの問題
AIで文章を作るのは確かに便利です。メールの返信から企画書のたたき台まで、秒で“それっぽい文章”が出てきます。便利すぎて、つい「もう全部AIに任せようかな」と思ったりする。
でも、その瞬間ふと頭をよぎるんですよね──
「これ、本当に正しいのか?」
「相手にAIで作ったってバレない?」
「こんなもの出したら、AI使っているのチョンバレじゃん、使える訳ないだろ」。
実際、AIはもっともらしいウソ(ハルシネーション)を平気で混ぜ込んでくる。会議に出席していない部長まで発言している議事録を出してきたときは、思わず──
「はあ?存在しない部長まで勝手に働かせるなよ。そんな会社あったら逆に紹介してくれ(笑)」
と突っ込みました。
AI業務利用で起こるリスクと信用失墜の可能性
個人利用なら「ネタ」で済むかもしれない。でも仕事ではそうはいかない。
まだ多くの会社でAIの業務利用を制限しているのは、情報漏洩や管理リスクに加えて、このハルシネーション問題もあるからです。うっかり使用すると、組織の信用問題に直結しかねない。
- 信用の損失:「あいつはAIを使っている」とバレる
- 逆効果の疑念:無茶苦茶な間違いがあるなら、他の部分も信用できないと見なされる
- システムへの波及:一度混入した誤りは別の文書にコピーされて肥大化する
「便利だから」で突っ走ると、仕事を早くするどころか自分の首を締める。AIはお調子者の部下そのものです。
ただし、AIの限界はハルシネーションだけではありません。
プロンプト設計を誤ると、条件に縛られて最適解を逃す「プロンプトの罠」 にも陥ります。
👉 (関連記事:プロンプトの罠──条件に縛られて最適解を逃す理由)
GPT-5の改善でも残る致命的なハルシネーション
OpenAIのCEOは「GPT-5では“もっともらしい誤り”を約80%減らした」と誇らしげに言っています。
それは確かに大きな改善です。今まで20回やらかしていたのが、4回になった──そういう意味でしょう。
でも、残りの4回が致命傷になったらどうします?
「AIに任せたのに、結局全部点検し直す羽目になる」──だったら最初から自分でやるわ、そういう人も少なくはない。
AIは“便利な雑用係”ではあっても、“信頼できる右腕”にはまだ程遠い。
AI活用の発想転換──ゼロを目指さず致命傷を防ぐ方法
幻想を捨てましょう。ハルシネーションをゼロにはできません。
だからこそ、「致命傷だけは出させない」設計に寄せるんです。
数字や固有名詞は自分で後入れ
出典は必ず別ルートで確認
プロンプト冒頭で「許すもの/許さないもの」を明記
これで“幻の部長”や“架空の統計”をかなり減らせます。完璧を狙うのではなく、AIを「雑用係」に徹底させる。これが一番安全で現実的な運用です。
結論:AIは「張りぼての優等生」──安全に使うための実践的対処法
AIは便利な道具。でも、真面目にやらせると大事な場面で平気でウソをつく。まるで「体裁ばかり整えて、中身はスカスカの張りぼて優等生」のようです。
信じるな、でも使え。ゼロを目指すのではなく、“無害化”する。
これだけでAIは最高の「残業代ゼロの雑用係」に変わります。
…で、問題はどうやって“無害化”するか、ですよね。
それをここで書いても良いですが、きちんとした裏付けを確認したい人から、具体策だけ知りたい人までニーズはさまざま。ひとつの記事では応えきれません。そこで場所を変えます。具体的なやり方はnoteにまとめますので、気になる方はそちらをどうぞ。
予告:AIハルシネーション対策をnoteで詳しく解説
noteではこの“張りぼての優等生”について、
- なぜAIは張りぼてなのか
- どんな場面でボロが出るのか
- バレずに使うためのコツ
具体例とチェックリストを整理してまとめます。
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AIの限界や人間の思考のあり方については、note記事でも掘り下げています。
👉 「考える力は、問い直すことから始まる」─AI時代の知性の灯を絶やさないために
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