欧州のスーパーに行くと、寿司コーナーやラーメン、天ぷらはもちろん、冷凍ケースには色とりどりの「餅アイス」まで並んでいる。
見た目には「日本食ブーム」の真っただ中。しかし、その現場を歩けば、日本企業の名前はほとんど見当たらない。
なぜ、日本企業はこの波に乗れていないのか──。
商社で長年、食品輸出に携わってきた私が、現地の構造を“商社マンの目線”で解剖した。
欧州餅アイス市場が示す「構造的な勝敗の理由」
noteでは、日本企業の欧州市場における存在感の低下をテーマに、これまで議論を重ねてきた。
その中で取り上げたのが、欧州で静かに成長を続ける「餅アイス市場」である。
3本の記事を通じて、この市場が示す構造的な勝敗の要因を明らかにした。
さらに、その分析を通じて、日本企業が再び主語を取り戻すための戦略として、
Japanese Food Sunrise Plan と 思想型ブランディング の2つを提示している。
戦略の全体像
noteで私が展開している議論は、「なぜ日本の加工食品は、欧州市場で存在感を示せていないのか」という根源的な問いから始まっている。
多くの日本企業は、高い技術と品質を持っているにもかかわらず、高コスト構造や複雑な法規制といった「三重苦」に直面し、個社ごとの努力だけではこの壁を乗り越えることが困難な状況だ。
これに対し、私は一つの解決策として、業界全体が連携するJapanese Food Sunrise Planという戦略構想を提唱した。これは、企業や政府機関が機能ごとに役割を分担し、情報やリソースを統合することで、欧州市場で戦い続けるための持続的な事業基盤を構築しようというものだ。
さらにこの議論を深める中で、私はもう一つの重要な結論に至った。
それは、欧州の消費者が求めているのは単なる「モノ」としての製品ではなく、その背景にある「意味」や「価値観」だということ。
つまり、日本企業は製品のスペックを語るだけでなく、「なぜそれをつくったのか」という哲学や思想を伝える思想型ブランディングを実践する必要がある。
この2つの議論は密接に繋がっている。
Japanese Food Sunrise Planという仕組みを構築し、その上で思想型ブランディングという考え方を実践する。
この両輪が揃って初めて、日本の食品が欧州で真の成功を収められると考えている。
そして、この戦略構想とブランディング手法を、実際のビジネスでどのように具現化できるのか──それを具体的に解説するのが、このマガジンである。
マガジンの内容
- 第1話:欧州和食ブームの“主語”は誰か?
- 第2話:餅アイスの成功が示す「語る力」の重要性
- 第3話:「意味」を売る戦略で日本企業が主語を取り戻す方法
3話を通して、日本食品が欧州で戦うための「仕組み」と「考え方」を立体的に示している。
なぜ今読むべきか
単なる市場分析ではなく、商社の現場で培った経験から、データの裏にある現実と、実践可能な戦略を描き出している。
欧州市場に挑む日本食品ビジネスにとって、ヒントや指針となるはずだ。
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今回のマガジンで提案している戦略の背景は、以下の記事で詳しく解説している。先に読むことで、マガジンの理解がより深まる。
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