7月のフロンターレを振り返る
7月の川崎フロンターレは、希望と現実が交錯するひと月でした。
22節で露わになった構造的な課題、23節で示した修正力と気迫、そして天皇杯で突きつけられた“変えられなかった代償”。
ここでは、7月の各試合レビューを振り返りながら、チームを組織の視点で総括し、今後の方向性を展望します。
J1リーグ第22節(2025年6月29日/味の素スタジアム)
前線からの圧とテンポの速い守備対応にビルドアップが滞り、セットプレー後の二次対応から失点。
後半は交代で推進力を出し、崩しとミドルの形は作れたものの、最後の精度が届かず無得点。
この試合であらためて見えたのは、攻撃面の「落とし込み」が道半ばであるという構造的な課題でした。
商社マンの視点:勝負所にピークを合わせられないのは個の問題ではなく、戦い方の共有やコンディション設計といった仕組みの問題として捉えるべきです。
J1リーグ第23節(2025年7月6日/等々力陸上競技場)
前半の劣勢をのみ込み、アディショナルタイムで追いつき、後半はショートカウンターの連係で逆転。
内容でも押し返し、気迫と修正力で勝点3を取り切った一戦でした。ここで、上位に食らいつく“道”が見えます。
商社マンの視点:連敗の空気を断ち切るのは技術だけでなく、意思決定の速さと、全員で押し返す心理の転換です。
天皇杯3回戦(2025年7月16日/Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu)
ボール支配は高く、右は基点を作れた一方、左サイドが最後まで機能不全。
「ポゼッション≠決定力」の齟齬が解けず、延長を経てPKで敗戦。
「焦らない」はいつしか「変えられない」に転じ、もっとも不確実な土俵に自ら乗ってしまった試合でした。
商社マンの視点:短期決戦では、停滞が長引く前に前倒しの打ち手を入れる判断が必要です。構造維持の美しさより、結果に近づく不格好な一手を。
7月の問い──“敗北を最高の教科書に”をどう実装するか
- 仕組み:攻撃の「落とし込み」を、相手の時間戦略にも耐える形へ。
- 決断:停滞には、ギアを上げる明示的なスイッチを。
- 心理:逆境での修正と執念を、勝てなかった日にも再現する。
いったん上向きの道が見えたあとで、出鼻を挫かれた。どの局面で、誰が、何を変えるのか——ここからです。
次に向けた実装メモ(短期)
- 時間帯のギア設計:「60分/75分/AT」でのスイッチ基準を明文化する。
- サイドの役割整理:機能不全が出た側は“役割と枚数”を一段浅く再設計してリスクを抑える。
- リスタート後の徹底:セットプレー直後の二次対応はタスクを固定し、判断を早める。
- ショートカウンターの型:成功パターンを2〜3に絞って、合図と走路を共有する。
読者のみなさんへ——今月の“注視ポイント”
- 「落とし込み」の進捗は、連続する崩しの数(回数と質)に出ます。
- ギア切替の有無は、交代とプレス強度の同時変化に出ます。
- 修正力の再現性は、逆境時の意思決定の速さに出ます。
各レビュー本編:
第22節 東京ヴェルディ戦(A)/
第23節 鹿島アントラーズ戦(H)/
天皇杯3回戦 SC相模原戦(H)
来月も、事実に立脚して振り返り、ともに次の一手を考えていきましょう。
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