ヨハンクライフアレナでの驚き(アムステルダム)
先日、サッカー観戦でアムステルダムのヨハンクライフアレナに行きました。すでに2シーズンを過ごしていますが、今回はこれまで座ったことがないサイド、アウェイゴール裏で観戦することになりました。

余談ですが、こちらのスタジアムは、どこのスタジアムに行ってもアウェイ席はほんのわずかで、たいていはコーナーの隅にある2階席のような場所だけです。日本の感覚でいう「アウェイゴール裏」というのは存在せず、ほとんどがホームサポーター席になっています。そのためアウェイチームは前後半のどちらであっても、味方サポーターに向かって攻撃することになりますし、観客の側から見ても、アウェイとホームでゴール裏の雰囲気にそれほど大きな差はありません。違う点といえば、ホームゴール裏に応援団が陣取っているくらいでしょうか。

という訳で、この日は入退場ゲートも初めての場所から出ることになりました。試合後、スタジアムを出る階段で思わずビックリしました。
なんと、足元が網目状になっていて、下が丸見えだったのです。

これが非常階段ならまだ分かるのですが、ここはコンコースと呼んでいいような、誰もが通る主要な動線です。しかも網目状なので、もし誰かが酔っ払ってビールでもこぼせば、下にいる人は頭からビールを浴びることになります。それも何階にもわたって……。材質の軽量化が必要な場所とも思えませんし、むしろ大勢の人間が一度に通る場所なので強度こそ必要なはずです。

建築費を少しでも節約するために材料を減らしたのか、と考えてしまいましたが、普通は安全第一で、こういう部分のコストは削らないものではないでしょうか。
──ヨハンクライフアレナで出会った、私にはどうにも共感できない「足元シースルー」の感覚でした。
ロッテルダム・ユーロマストのシースルー体験
ロッテルダムの観光名所ユーロマストでも、同じような体験をしました。ユーロマストは高さ185メートルの展望塔で、街のシンボルの一つです。

展望台へはエレベーターで上がるのですが、料金は2段階に分かれています。最初の展望台までだと16.5ユーロ。さらにエレベーターを乗り換えて一番上の展望台に行くと20.5ユーロです。その「最後のエレベーター」の床がシースルーになっているのを思い出しました。

上昇中にはエレベーターが回転したり、ネオンサインで宇宙空間をワープしているかのような演出が施されていたりと、さまざまな工夫があります。その一環として床を透明にしていたのだと思います。

とはいえ、足元が透けていたからといって「わぁ、きれい」と感動することもなく、むしろ落ち着かない気分にさせられるだけでした。
──ここでも、どうにも私には共感しがたい「足元シースルー」の感覚でした。
パリ・ポルトマイヨー駅のガラス床
さらに昨年、食品展示会でパリを訪れた際にも、似たような「足元シースルー」に出会いました。場所はパリ郊外のポルト・マイヨー地下鉄駅です。広場の一角が妙に光を放っていたので近づいてみると、地下鉄の改札口の天井部分がガラス張りになっており、その上を歩けるようになっていました。

透明な床を歩いてみても、「まるで空中を散歩しているみたい」という爽快感はなく、むしろ地に足がついていないような落ち着かない気持ちばかりが残りました。


「ガラスが割れて転落するかもしれない」という不安はまったくありませんでしたが、それでも心から安心できるものでもありません。

しかもこの広場は大通りに面しており、車の事故などが起きた場合にどうなるのかと心配になりました。普通にアスファルトにしておけば、そんな余計な不安を抱く必要もないはずなのに……。

──ここでもまた、私にはどうにも共感できない「欧州の感覚」に出会ったのでした。
最後に:欧州人と「足元シースルー」文化
ヨハンクライフアレナの階段、ユーロマストのエレベーター、そしてパリ・ポルトマイヨー駅のガラス床。いずれも「足元が透けている」仕掛けに出会いました。
「軽量化」「演出」「デザイン性」など理由はあるのかもしれませんが、私には「安心感よりも落ち着かない気分」を与えるものばかりでした。
──どうやら欧州人は足元シースルーを好むようですが、少なくとも私には共感できない感覚の一つです。
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